空き家問題のネックのひとつに “登記を確認したにも関わらず、本人と一切連絡がつかず話を進めることできない” ことがあります。
背景には、相続時に登記をせず、いまに至っていることがあげられます。登記をすること自体が義務化がされていないため、思っている以上に多くの無登記空き家があります。
これが2世代3世代と続くと、ねずみ算的に相続の当事者が分散してしまい収拾がつかなくなり、土地家屋を処分したくても処分できないといった状態になってしまいます。私もそのような案件に出くわしたことがあり、代表者と司法書士を交え相談をしたところ、登記に関する手間と費用の問題で断念せざるを得なかったという印象深い思い出があります。
こういった問題を受け、令和5年に所有者不明土地特措法が施行されることになりました。内容は以下の通りとなります。
① 登記がされるようにするための不動産登記制度の見直し
・ 相続登記、住所変更登記の申請義務化
・ 相続登記、住所変更登記の手続の簡素化、合理化
② 土地を手放すための制度 (相続土地国庫帰属制度)の創設
・ 相続等により土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けて、その土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設
③ 土地利用に関連する民法の規律の見直し
・ 所有者不明土地管理制度等の創設
・ 共有者が不明な場合の共有地の利用の円滑化
・ 長期間経過後の遺産分割の見直し
原則として公布(R3.4.28)後2年以内の政令で定める日
①のうち、相続登記義務化関係の改正については公布後3年以内の政令で定める日、住所変更登記義務化関係の改正については公布後5年以内の政令で定める日
国土交通省HP https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo02_hh_000001_00013.html
①の登記の所在が明確になれば、空き家相談士に限らず、不動産業界にとっても動きやすい状況になり、将来的な流通の阻害要因がなくなるかと思われます。
②の土地の所有権の国庫帰属に関しては、相談を受ける中で多くのひとから要望がありました。帰属させるため、法務大臣からの調査と10年分の管理費負担分の金額を納付、なにより空き家を解体して、更地で渡さなければならないという条件になるかと思われるため、なかなかハードルが厳しいのではないかと思います。
国庫帰属は、渋々ではあると思いますが、そうせざるを得ない程この空き家の問題は根が深い問題なのだと改めて感じました。
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